今日の会話

 学内に喫煙所は二箇所しかない。大学院の建物にほど近い方の喫煙所で昼休みにタバコを吸っているとゼミの友人が来た。学校来てるんですね、と言われた。卒論は大丈夫ですか? 学校来てる場合じゃないんじゃないですか? という含みが感じられた。テストがあるんですよ、と答える。「そりゃあ大変だ」「テストとレポートと卒論とあと卒業後の進路でもう訳が分からなくなってますよ」「ぼくももうお先真っ暗ですよ、ああ留年したいなあ」「修論が通らなければ留年できますよ」「修論は通って欲しいですけど、授業のレポートが通らなければ留年できます」「そんな留年したいですか、博士の書類出したんでしょ?」「修論と一緒に出しました」「いいじゃないですか進学、別に留年しなくたって」「いや、博士に進むとなると、やっぱりね、もう色々無理になることってあるじゃないですか」「ぼく結局修士の書類出しませんでしたよ、金なくて」「え? そうなんですか? どうするんですか?」「分かりません」「分かりませんよねほんと」