I have a dream.

 パソコンをいじくっていると某悪口サイトに「辻希美ソロアルバム!123枚目」というスレッドが立っていたので、何だこれは聞いてないぞと思ってクリックすると1レス目が「ののたんの待望のソロアルバム『希美のノゾミOne!』について語ろう!」ということだった。私はAVみたいタイトルだなと思った。延々と絶賛の声が寄せられていた。1レスにつき最低2回は「ののたんは奇跡」というフレーズがどこかしらに入っていた。私はこんなムーブメントがあったことを知らずに瓢然と日常を生きていたことを恥じ、パソコンをつけたままでCDショップへ自転車を走らせた。CDショップへ辿りつくとののたんのソロアルバムが目の前に平積みしてあった。目の前どころか全ての棚の全ての欄にののたんのソロアルバムが所狭しと並べられていた。私はその内の一枚を手に取るとレジへ走った。レジは長蛇の列だった。当然のように皆、ののたんのソロアルバムを片手に持っていた。私は不思議な興奮を覚えて「やっぱののたんっていいですよね」と前に居た20代OL風へ話しかけた。OL風は振り向くと「そうですね、やっぱり辻ちゃんはかわいいですからね」と笑顔で返した。驚いたことにはそのOL風は保田圭ちゃんだった。私は咄嗟に「あっ、保田さん、昨日の二十四の瞳すごく良かったです。泣いてしまいました。握手してくれますか」と言って右手を差し出した。圭ちゃんはにこやかに笑うと「いいですよ」と言って左手を差し出した。右手と左手では握手ができないのだった。私達は一瞬の沈黙の後、お互いの目を見詰め合って笑った。店内にはののたんのソロの曲が流れていた。よくよく聴いてみるとそれはゆらゆら帝国の「恋がしたい」のカバーのようだった。私と圭ちゃんはののたんのソロアルバムを買うと、肩を並べて店を出た。私は緊張しながら「あのー」と言った。圭ちゃんはニコニコしながら「なんですか?」と言った。「結婚しよう」「はい」そのようにして私達二人は夜のホテル街へ消えるのであった。圭ちゃんLOVE。