僕の考える大学生活

 授業が終わって、サークルの部室でダラダラと時間を潰した後にそれじゃあちょっと飯食いに行こうよということになって、女の子と男の子が入り乱れてとある飲み屋へ入り、じゃあ2番と3番の人がキス!えーくちびるじゃないとダメなのー?ダメダメいやーんなどという遊びをやったりしながら3時間ほど飲んだり吐いたりしてそれじゃあまた明日ね明日はビートルズをコピーしようね僕はアンドアイラブハーが好きだなあそうかな僕はエリナリグビーが好きだという会話をしながらセブンイレブンに入り、ワンカップと8個入りの雪見だいふくを買ってその場で友達と分かれ、家に帰る。ひんやりした夜の空気にもう秋なのだなあと思いながら、考え無しに着てきた半袖を恨めしく思って、腕をさすりさすり、なんでこの寒い日に雪見だいふくなんか買ってしまったかなと少しだけ思う。家について玄関のカギをがちゃがちゃやっていると家の中に人がいる気配がするのではてなと思って、カギを開けずにドアノブを回すとすんなり開いてああもう来てんのかと納得して、靴を脱いで家に上がる。案の定ののたんが居て、細木和子スペシャル番組なんかを見ているのでお前そんなもん見んなよと言ってチャンネルを変えると、ののたんは怖い顔して遅かったじゃんとまるで僕を非難するかのような口ぶりで言う。しょうがないだろ人付き合いってのは大事なんだよと僕は言って、ワンカップ雪見だいふくを机の上に置く。ののたんはなんで今の時期に雪見だいふくなの?とバカにしたような口調で言うので、僕はちょっと腹が立って雪見だいふくはいつ食っても美味いんだよバカとののたんの頭をコツンと叩くと、ののたんはそこで初めて笑う。テヘテヘ。それで僕がワンカップを開けて、雪見だいふくを一つ頬張ると、ののたんは物欲しそうな顔をして一個ちょうだいと言うので、僕は結局お前も食べたいんじゃねーかと言って笑う。ののたんは緑色した二股のフォークで雪見だいふくを器用に2つ突き刺すとぱくぱくと美味しそうに食べる。一個じゃなかったの?と訊くと、二つで一つだよそれはまるでダブルユーのようにねとよくわからないことを言うので僕はアハハと愛想笑いをする。よくよく見るとののたんはミニスカートにカーディガンという季節感の無い格好をしていたので、今の時期に雪見だいふくとか言ってるお前も季節感覚の狂ったファッションをしているではないかと問い詰めると、ののたんはしれっとこういうのがお洒落なんだよあんたみたいなダサオタク男とは感性自体が違うんだよと言うので、それはたしかにそうかも知れないなぁと僕は漠然と納得してしまったのでそれ以上深くは追求せずに、ワンカップを一口飲んだ。中島らも的な表現をすると胃にポッと明かりが灯るような感じがして、ああ美味いな酒ってのはと思う。美味さが僕の顔ににじみ出ていたのか知らないが、ののたんが不思議そうな顔して日本酒って美味しいの?一口ちょうだいと言うので、僕はお前にはまだ早いよ酒は大学生になってから飲めと言うと、ほっぺたをぷっくりと膨らましていーじゃん別にのんだってもう18なんだからいいじゃん別にお酒ぐらい飲んだっていーじゃん別にだって梨華ちゃんだっていつも缶チューハイ飲んでたんだしのんだって飲んでいいじゃん別にとあまりにもしつこいので、分かった分かったと言ってでも一口だけだぞ二口で一口ってのは無しだぞと念を押すと、ののたんは分かった分かったと言って一口にワンカップの半分ほどを飲み干してしまう。僕はあっあっなんてことをと言ってオロオロすると、ののたんからワンカップを取り上げる。ののたんは日本酒ってまずいねと眉毛をしかめる。そんなに飲むからだバカ野郎お前なんか雪見だいふくでも食っとけと言って、僕は残りの日本酒をちびりちびり飲む。ののたんはえ雪見だいふく食べちゃっていいの?と言って、残っていた雪見だいふくをほとんど一息にペロリと平らげる。その上でお茶が飲みたいなどと言い出すので、このわがまま女めと思いながらもはいはいと言って熱ーいほうじ茶を入れてあげる。そしてそれを二人で一緒にアチチアチチなどと言いながら飲む。そんな9月下旬。