日記

 昨晩深夜に某ブログを見て猛烈な嫉妬に狂う。女の子に声を掛けられただと?それからどうなったんだ?セックスか?「いつも自習室で隣になりますよね、セックスしよっ」なのか?余りに腹が立ったのでメッセで起きていた奴に愚痴る。まああいつはかっこいいからね的なことを言って俺の気持ちを汲み取ろうともしない彼に私は愛想をつかして「寝る」と言って、メッセをオフラインにするとその怒りをオナニーにぶつける。柴ちゃんの写真集Ayumi2を3週したところで果てる。ティッシュでザーメンを処理しながらとんでもなく虚しくなる。俺は写真集から柴ちゃんの顔が一番かわいく写っているカットを探し出すとそれに向けて「なあ柴ちゃんフェラチオしてくれ」と言ってみたい気がしたがやっぱりそれは人間としてまずいので言わずに、5分ぐらい目と目で通じ合った後、その画像を閉じた。それからエロ動画を探した。狙うは長谷川いずみ葵みのりだったのだが、結局見つからなかったので渋々素人モノの動画を落として満足した。明日の楽しみに取っておこうと思ったがやっぱり気になるので少しだけ見たら、サムネイルで紹介されていた女の子はきれいだったのに、この動画でアンアンやってる女の子はブサイクな上にデブだったので、俺は呆然としながら陰茎を握り締めて、その動画をゴミ箱に捨てた上で削除した。内臓が体操してとても乱雑。時計が午前3時を回ったので日本史の勉強をした。第2次・第3次近衛文麿内閣がWWⅡに向けて邁進していくのかそれともやめるのか、日米交渉も気になるし、でも植民地が欲しいし的な所をやった。大政翼賛会を俺も作りたいと思った。鳥肌翼賛会の幹部に、僕はなりたいと思った。
 午前5時頃まで日本史をやると疲れたので、マイダディが「読め」と言って貸してくれた亡国のイージスの序章だけを読んだ。序章を読んだところで既に登場人物が把握しきれなくなった。最初の方のページに書いてある主な登場人物の名前と役柄を見てもよく分からなかった。防衛大に行った奴のことを思い出して大変だろうなと思った。少しずつ外が明るくなって来たので、台所へ行って飯を食った。昨日の晩御飯の残りのマツタケご飯を食べた。嘘っぽいマツケタの香りがしたが、黙って食べた。茶碗2杯ほど食べてもまだお腹が空いていたので、ずっと前から放置されていたクリームパンを食べた。ベタベタしてとてもまずかったので半分ほど食べて残りは捨てた。賞味期限を見ると2005年7月3日と書いてあったので少しだけ青くなった。マイダディが起きて来たので「イージス少しだけ読んだよ」と言うと「えっ?」と言われて、僕は少し眉毛をしかめた。どうやらちゃんと「亡国のイージス」と言わなければ分からないようだった。マイダディは「お前は歌をおらぶ時以外は小さい声でぼそぼそ喋るから何を言っているかわからない」的なことを言ったが、僕はマイダディの耳が悪いのだと思った。しかしよく考えてみると確かに僕の喋り方は実に不明瞭なものなので、私の喋り方も悪かったし、ダディの耳も悪いのだということにして、責任を均等に配分した。これを配分的正義と言いますと高校の頃の倫理の先生は言っていた気がした。日本史の先生はメガネをくいっと上げて、喧嘩両成敗法と言った。
 部屋に戻るともう外は完全に明るくなっていたのでカーテンを開けた。太陽光は眠っていない目と頭にはひどく辛いものだった。眠らずに朝が来てふらつきながら帰る、というフレーズが頭に浮かぶ。俺はどこまでもナンバーガールフリークだなと思って少し嬉しくなるが、同時に寂しくもなる。また机について今度は今日の授業の予習をする。早稲田の今年の政経の問題だった。やり終えて、なんだこんなものか早稲田はと思った。この間の早大模試の方が難しかった。8時頃になるとマイマザーが「ご飯何食べる?」と言って部屋に入ってくる。「もう食べた」と言うと「あらまあ」と言って部屋から出て行く。僕はその時ナンバーガールを聴きながら漱石我輩は猫であるを読んでいた。簡潔で明瞭な文体が徹夜明けの頭に優しかった。君は家猫娘だった、この部屋でいつも寝転んで。ナンバーガールの歌詞がもたらすイメージは童貞の僕にとって、理想的でいてかつ悲しいものだったのだけれども、とりあえずれいなについて考えてみたくなったので、れいなは家猫娘だったこの部屋でいつも寝転んで僕の部屋に入り込む朝日に映るれいなのキラキラした顔に見とれていたそれはまさに赤色エレジーだった。れいなにイギーポップアンドストゥージーズのサーチアンドデストロイを聴かせて「変な曲」と言って笑う様をずっと見ていたかった。「そんなことないよ、かっこいいだろ」と言って「いーや、全然かっこよくないっちゃね変な曲」と返される、その予定調和を互いに楽しみたかった。れいなは内心では「結構いいじゃんこの曲」と思っているし、僕はそこまでイギーポップが好きなわけでもなかった。イギーポップの持つイメージを愛していた。そしてれいなが居なくなった部屋で、イギーポップを聴いて、ああサーチアンドデストロイだと思って、れいなはいつもこの曲を変な曲だと言っていたけれども、確かに変な曲だ、そうして忘れてしまった、本当はこれでもかと覚えているれいなの顔の輪郭や、瞳の輝きや、おまんこの色なんかを思い出して、思い出すふりをして、イギーポップを聴きながら泣いたりして、それを誰に言うでもなく、どこかに書きつけて、イギーポップファンクラブを聴いて切なくなったりしてみた。