September

 9月だからアースウィンド&ファイアを聞こう。セプテンバーを聞こう。ダンストゥザミュージックしよう。飽きたらスライ&ザファミリーストーンを聴こう。ダンストゥザミュージックだ。そしてアイウォンチュ、アイウォンチュと歌いながら、最後にアイウォンチュバーックと叫ぼう。マイケル少年の声に耳を傾けよう。セプテンバーはファンキーだ。ファンキーと言えばDanceするのだ!だ。いけない、泣いてしまう。Danceするのだ!は何回聴いても泣いてしまう。夏が終わったから泣くわけではない。ただ僕は石川吉澤辻加護という4期メンバーが、ダンスダンスするのだと言いながら手をクラップクラップさせている様を思い出して泣いてしまうのだ。あのPVはたまらなく良い。現在中学一年生の7期メンバーことミラクルエース久住小春はあの時代のモーニング娘。を知っているのだろうか。多分知らない。ラブマシーンですらリアルタイムというよりも、何かの特集で過去を振り返ったりする時の映像で知っているという感じがする。その状況をガキさんは憂えて、小春を説教するわけだ。DVD貸したげるよとかなんとか言われたので、新垣先輩が貸してくれるDVDって何だろうと目をキラキラさせていた小春は、ガキさんが持ってきた昔のモーニング娘。のDVDを見てげんなりして失望する。モーニング娘。が偉大なのは知っているが、やはり勉強するには自分の所属するグループの過去を振りかえるよりも、もっと偉大な先人から学ぶべきだ、という堅苦しいことを小春は考える。それで高橋のところへ行って、さっきの持論を高橋に喋り、DVD貸してくださいと言ったりすると、高橋は宝塚のDVDをこれでもかと持ってきて貸すというよりも押しつけた挙句に、それから一ヶ月ぐらいずっと「どうだった?どうだった?」と尋ねつづける。小春はストレスで日に日にやせ衰えて行く。私の人生って宝塚なのかしら、とか考えはじめる。高橋による洗脳。洗脳にはまず今までの自分のあり方というものを徹底的に否定することから始まる。高橋は密かにそれを実行していたのだ。その上で宝塚という新たな思想体系というイメージを小春に示す。小春は宝塚に傾いてしまいそうになって、ハードゲイですフォー!などと混乱し始め、自我を失って行く。そんな時ふと思い出して、ガキさんから貸してもらっていたモーニング娘。のDVDを見る。Danceするのだ!を見て、思わず泣いてしまう小春。ほら長い長い人生を少し駆け出したばかり(イエーイ)Ah青春さ上り坂もあるさ、という歌詞とピースフルなメロディーにすっかりやられてしまう。そうね、頑張らなくっちゃとみるみる元気を取り戻して、名実ともにミラクルエースとして小春は開花する。高橋は歯を食いしばってモーニング娘。卒業、「やっぱりミラクルエースには敵わないわ」ということを考えてみたけれど、歌詞に沿ってないから諦めた。