くしゅん

 あややがくしゅんとくしゃみをした。僕はかわいいなあと思った。それから「大丈夫?」と尋ねると、あややは「うん大丈夫、今生理だから」と笑った。なるほど、道理で今日のあややからは鉄臭いニオイがしている。あやや股間から経血がドバドバと流れ出るところを想像していると、今度はあややから「大丈夫?」と尋ねられたので、僕は「うん大丈夫、今ちょっとあややのこと考えてただけだから」と笑った。あややは「嬉しい」と言って僕の腕に絡みつくと「そろそろクリスマスだね」と上目遣いに僕の顔を見た。その言い方に何か含みがあった。僕はどことなく上の空で「そうだね、クリスマスだね」と言った。あややはちょっと怒った顔で「そうだね、じゃないよ」と軽く僕の頭を叩いた。クリスマスにはあややとホワイティーなセックスをしよう、と僕は思った。
 ののたんがくしゅんとくしゃみをした。僕はののたんの身体が心配になった。「大丈夫?風邪なんじゃない?」と尋ねると、ののたんは深刻そうな顔で「最近、生理が無いの」と驚くべき事実を発表した。僕がののたんがこの歳にして閉経この歳にして閉経ということを考えていると、ののたんは「責任取ってくれるの?」とまたしても驚愕すべきことを言うので、僕は「何の?」と尋ねた。「あなたのことが好きすぎて、こんなことになっちゃったんだよ」とののたんは涙を流した。僕は「なっちゃったんだよ」のところに妙に興奮した。ののたんの今や細くなってしまったふとももをさすりながら「ごめんな、ののたん、本当にごめん」と言って僕もののたんと一緒に泣いた。それからののたんを病院に連れて行くと妊娠3ヶ月ということだった。嘘だろ?
 れいながくしゅんとくしゃみをした。「風邪?」と訊くと「実はインフルエンザだっちゃ」と言うので、僕はれいなのインフルエンザなら進んで移されたいと思った。「れいな、ツバ飲ませてよ」と僕が言うと、れいなは「受験も近いし、それはできないっちゃ」と拒むので、無理矢理れいなの唇を奪った。それから1時間ぐらいディープキスを続けていると、息をするのを忘れて死にそうになった。お互いの鼻の息の湿り気が互いの唇周辺に溜まってびちょびちょになった。「れいな!びちょびちょだあ!」と言うと、れいなは死にそうな顔をしていた。インフルエンザが悪化したらしい。僕は焦ってれいなを病院に連れて行くと、主治医の話を聴いた。「れいなの病気は何なんですか」「癌です」「そ、そんな!あとどれぐらい生きられるんですか?」「もって半年、最悪の場合は3ヶ月でしょう」「なんであの子が!」僕は泣きながら家に帰ると、れいなのことを思って手袋とマフラーを編んだ。それらを編み終えた後に、れいなを病院に置いてきたままなのを思い出したが、眠かったのでまあいいかと思って、CPZでエロ動画を落してそれで抜いてから寝た。翌日れいなを病院に迎えに行くと、れいなはすでに冷たくなっていた。僕は1リットルの涙を流した。だが、冷たくなったれいなを家に連れて帰って死姦することを考えると少し心が踊るような気もした。極めて消極的に自殺したいと思った。