猫とギターと枯れたサボテン 改訂版その五

 鼻血とコーラの件をスタジオに謝罪し、つきましてはご自分たちで掃除していただくか清掃料として1万円いただきますと店員さんがしれっとした顔つきで言うので、あー大変だなあ掃除は大変だなあと割と他人事のような気分でいたのだけども、美貴ちゃんの「お前のせいなんだからお前が掃除しろ」という厳しい一言により、またその時の目の冷たさ鋭さ恐ろしさといったらちょっとした消費者金融ばりなんだけども、私はそんなことよりこれから如何にしてどれほどの量の酒を飲むかということしか考えられず「ああ早くお酒が飲みたいねえ、そうだよねえれいなちゃんさゆ」「そうですねえ、待ってますから掃除し終えたら来てくださいね」と大変冷たく、私は店員さんから雑巾とバケツを借り受け、さめざめと泣きながら、まるで授業中にゲロ吐いた小学生のような、給食にブロッコリーが出てどうしても食べられずに授業中になってもずっと食べさせられているようなみじめさで、その血とコーラの海にひざまづいてバケツと床の往復運動を繰り返していたのだけども、これはこれでノってくると非常に楽しくなって来て、おらおらおらおらという気持ちで非常に緩慢かつスピーディに己の仕事をこなしていたら、猫がにゃうにゃうと鳴き、ああお前居たんだという気持ちでその猫の顔を見ると、これがまたなかなかどうしてかわいらしいつぶらな瞳をしていて、お前はなんだかんだでこんな状況でも私と一緒に居てくれるんだねといじらしくなり、かわいいと思い、同時に頼もしくなった。

つづく

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