これから大学生になるあなたへ

 世の中の正しいことは全部間違っています。この世にはただあなたが居て、そしてそれを取り巻く世界があるだけです。いや、これも間違ってます。僕の言うことは全て間違っています。あなたがふと思い立って口にすることも大体は間違っています。間違いだらけで正しいことなんて一つもありません。間違いこそが正しさなのだと思えば全て正しいような気がしますが、その前提もまた間違っています。基本的に妥協しなけりゃ無理です。ああこれは無理だな生きていたくないなと思ったときにお酒を飲んでください。その瞬間だけ世界は全て正しいものになります。ただそれは酔っ払った時にだけ訪れる至福の時で、長くは続きません。その至福に没入すればするほど、翌日の二日酔いという代償が大きく身体に跳ね返ります。それはそれでいいんだ、と思います。
 価値観やらセンスやら自分磨きやら内面的成長やら個性やらという具体的に何も想像できない言葉は最もたちの悪い間違いです。それに振り回されないでください。何かよくわからないもやもやしたものの一つの現実世界における具体的な発露として私がいて、この身体というものはその現実世界における端末のようなもので、それ以上の意味はありません。Appleの戦略というもやもやしたものの発露として個々の製造番号のついたiPodMacがあるのと同じように、ただ私は現実世界に存在しているだけです。あまりにも虚しいです。世の中というのは虚しいです。生きていたくありません。苦痛でしかないです。でも生きていてもそんなに痛いものではないとも思います。それだけです。