まだまだしたためる

 話は横道に反れる一方です。それでまあ僕が中一の時にモーニング娘。第三期メンバーオーディション!などということがあり、学内は一時騒然とし、「ASAYAN見てる?」「見てる見てる」「お前は誰がいいと思う?」「アイドルなんてくだらねえよ」「俺は誰が入ろうとなっちを愛し続けるよ」「ねえクンニリングスってどういう意味?」「まんこ舐めるって意味だよバーカ、俺はケツの穴にうんこが着いていようと舐める自信がある、なっちなら」「俺は飯田がいい」など、まるで戦場か祭のような騒々しさで、短い10分の休憩時間を無駄に過ごしていたのですが、結局後藤真希加入、当時中二、歳の近いアイドルというものに妙に親近感なのか性欲なのか分からない次元で、学内はやはり騒然とし、なっちを愛し続けると言ったかの人は易々とごっちんに乗り換え、僕もその流れに追随した。それから怒涛のラブマ、恋ダン、ラブレボ、など一連のダンス☆マンアレンジのファンクチューン、ぞっこん惚れ込んで、メタルなど聴いて「お前ら洋楽なんて聴かんだろう、俺は洋楽を聴いている、挙句メタルというすごく高尚でムツカシイ音楽を愛しているのだ、貴様らとは違う」と優越感に浸る傍らハロプロのベストをこっそりヘッドホンしながら毎日聴いた。
 バトロワが流行り、小説など国語の教科書以外では読みませんが、という人々が一斉にバトロワブームに乗り、あっちでバトロワ、こっちでバトロワ、このクラスでバトロワやったら最後まで生き残りそうなのは誰だろうねえ、そりゃお前うちの担任に決まってるだろ、普段から容赦ねえ暴力教師だからな、じゃあモーニング娘。バトロワやったら誰が残るのだろうねえ、ああ後藤なんじゃない?後藤か飯田だろう、なっちは確実に早目に死ぬ、というか俺が殺す、憎いからね、なんとなく憎いからね。などと言っていたら、2ちゃんねるモー娘。(羊)というものを知り、そこで娘。バトロワ小説隆盛、貪るように読み、しかしそのような同人的なものを読んでいるおれ、挙句モーニング娘。の、その恥ずかしさに耐え切れず、より一層メタルを聴いて、自尊心と正直な欲求との軋轢に耐えた。
 その頃になってくると割と「モーニング娘。だと誰が好き?」という質問が日常的なものになっていて、大抵はなっち派かごっちん派、まれに矢口派などが現れ、なっちを捨ててごっちんに走ったかの人もいつの間にか矢口派になっていて、教室に床にもしかしたら矢口の卵子が落ちていることがあるかも知れない、と言って、股間を床にこすりつけたりしていて、僕はそれを見てバカだなあしかしコイツは本当に愉快だなあと思っていた。
 「僕は保田圭が好きだよ、圭ちゃん」と、マジメ一徹で、オナニーとかしない男がいるとすれば奴しかいないだろうというので評判だった坊ちゃんカットの優等生が言った。当時保田はドブス、プッチモニに保田でなくてなっちが入れば完璧だったのに、というような潮流があった中でのその勇気ある発言に皆が驚き、学内が騒然とし、国語の先生も「やすだあ!?」と大声を挙げて憤った。今となっては、僕も、圭ちゃんのことが好きすぎて辛いです。