2/26

 サークルリーダーのことについて考えていた。就活面接の際などにおいて「サークルのリーダーをやっていました」というのが頻出するという奴のことである。無難な答え、学生側からも嘲笑され、企業側からもうんざりされるという噂のサークルリーダーであるが、果たしてそれを売りとして主張することは一体全体間違いなのだろうか、ということを思った。「サークルリーダーをやっていました」というのは、先日の「一般的にウケが良さそうなこと」にあたると思しいのだが、しかし現状これはすこぶるウケが悪いように見受けられ、つまりこれは「一般的にウケが良さそうなことは逆にウケが悪い」の状況に陥っているわけである。だから学生側は頭を捻って、サークルリーダーやその他の団体でのリーダーシップなどという話を避けたものを考えだそうと、頭を捻って、こねくり回して考えるわけなのだが、学生生活などサークルと授業とバイトと恋愛で大抵の場合占められており、よしんば何かビジネス的な活動をしていたとなっても、よほど成功したとかそういう話でなければ「学生のお遊びの延長で偉そうに」と顰蹙を買うだろうことは想像され、大体それが成功していたのであれば就職活動などせずにそちらを継続していればいい話で、そもそも就活しなければならない人間は凡人なのであり、たいしたネタなどなく、そこにおいてやはりサークルリーダーはとてもお手軽、バイトリーダーでもよいし、そういえばよく「何をしたかは問題ではなく、それをどう語り、どう伝えるかが問題で、そこを見ている」などとエライ人が言っているのを見かけるし、だからサークルリーダーでいいのだ、ネタはサークルリーダーでいいのだ、下手な話題をでっち上げるとボロが出る、無難に行こう、ここは無難に、サークルリーダーをやっていました。一周回ってそこへたどり着き、はたと頭をもたげるのが「これでは何の考えもなしにサークルリーダーをやっていましたと言っているうすらバカと一緒ではないか」ということであり、しかし物事は無難に、新卒というのはなにせ一世一代の人生の岐路である。そして企業は突飛なことを言う奴を求めているわけではないらしい。無難に、最もらしいことを繕える奴が欲しいらしい、それではやはりなおのこと、他の学生からうすらバカと思われようと、人事にいくらうんざりされようと、おれにはこれしかない、サークルリーダーをやっていました。何も間違っていない。うすらバカと思っている奴は勝手に思え、うんざりしている企業はこちらから願い下げだ、無難なことを無難に言い繕っているおれのこの笑顔を見よ、言葉を聞け、なんの情熱も、こだわりも無い、この凡人の精一杯の繕いをこそ褒め称えよ。そういうわけで人事が訊く「自己PRをしてください」に胸を張って言うのである「サークルリーダーをやっていました」