ふと気付くと女の部屋に居た。ベッドの上でごろごろしていた。布団や枕からはシャンプーの優しい匂いがした。シャワーの音が止み、バスタオルを巻いた女が出てきた。「久しぶりだね」と言った彼女は、どうみても酒井若菜だったので、久しぶりも何も、初めま…
姿見の前で何度も服を着替えながら、今年の帰省が楽しみだ、と考えていた。家を出ると夜で、目の前に広がるのは複雑に入り組んだ袋小路だった。どう進めば良いのかは、なんとなく分かっていたから、足が進むのにまかせててくてく歩いた。しばらく進むと前方…
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