うぶ毛

 思えばここしばらく性的な話ばかりでなんだか品が無いなと思い始めたので、浪人生らしく予備校や受験のことについて。代ゼミ。今日は代ゼミの第一回目のセンター模試という奴で「今回は良い点が取れなくったっていいんだよ、まだ勉強をやり直し始めたばかりだからね、模試は点数じゃないんだ、自分の弱点を知ること、これが大事なんだよ」と学校の先生や塾の講師はおっしゃいますが、私はもう騙されない。去年は「現役生は秋口から伸びる」と言われて「そうか、秋から伸びるのか、じゃあ今からやらなくてもいいじゃん」ということで、夏は現状維持、秋になればなったで「センター前の一週間で100点アップすることも可能だ」とかなんとかで、そうかじゃあ今七割五分は確実に取れるから一週間前まで勉強しなくていいじゃん、一週間前からバリバリやったら8割五分じゃんラッキー、とそういうことを繰り返している内に本番がやってきて、あれよあれよという間にセンター試験は散り行き、愕然とする「8割にすら届いてない」でもでもというんで、顔を輝かせて「でっ、でも2次で挽回できるもんね!僕の受ける大学はセンターと2次の比率が1:7ぐらいだもんね!ボーダーから15点足りないぐらい、数学の問題を人より一問多くとければいいもんね!」と思って、でもそう自分を納得させてはいるもののやっぱり不安で、すべり止めのつもりで、でも一応ということで日程を違えて2回も受けた某関西学院大学社会学部に見事不合格し、しかもこれが切ないんだ。ハガキが来るんだけど、ハガキが来た時点でもう不合格だということが分かる。合格なら色々な手続きの書類が入ったごっつい封筒が送られてくるんだが、不合格ならハガキ一枚。料金明細のようにくっついてるハガキをペリペリと剥がすと「あなたの番号はありませんでした」ありませんでしたありませんでした、イエモン。もしくは、第二次世界大戦中にお国からピラリと送られてる赤紙鳥肌実天皇陛下万歳。そんな感じですべり止めのつもりだった学校に捨てられ、ポジティブ元気な人はここで「やっぱり俺には第一志望しかない!」と思ってバリバリバリと勉強するんだろうが、私はこの学校に落ちるようじゃ第一志望も受かるはずがないとまるで梨華ちゃんみたいなネガティブな思考に陥ってしまい、前期不合格、そしてセンターの点数がボーダーに達していなかったのにも関わらず、「面談には自信がある」とかなんとか言って、自信満々で受けた国立後期もあっけなく不合格、僕の隣に座っていたプリティーな青森ガールは合格していた。前にも言ったけど、あの青森ガールは絶対に試験官に何かセクシャルなアピールをしたんだと思う。じゃなきゃ私が落ちるはずがないじゃないか!と、ここでセンターがボーダーに達していないことに気付く。僕は本当は土俵に乗れてすらいなかったのだ。ただ舞台脇で「なんだよ、こんなの簡単じゃねーか、なんでちゃんとできないんだ」みたいなことをブー垂れてる、性質の悪い受験生だったのです。今年は改める。頑張る。
 まあそんな決意表明はいい、とにかくみんな気になってただろう、いや別に気になってないかも知れないが、題名の「うぶ毛」これが私の今回一番言いたいことで、前半の受験失敗談なんてのはどうでもいい。どこにだって転がってるありきたりな失敗談だと我ながら思う。人のふり見て我がふりは直せない。それで直せる人も居るのかも知れないが、経験しないと私には無理だった。で、うぶ毛。今日の代ゼミの模試にまた話は戻るのだけど、今回の私の座席は超ベストポイントで、前:女、両隣:女、右斜め前:女、このように素晴らしい席だったのです。しかも皆かわいいんだ。特に右隣の子が私としては好みだったんだけど、頭良いけどスタイリッシュでかっこいいみたいなまるでアヤカとか里田とかかおりんみたいな女の子で、私はこの子のカバンをちょっと当たって落っことしてしまって、でもわざとじゃないよ「申し訳ない」って言ったら、笑顔でウフフッ、何がおかしいんだこのやろう、かわいいじゃねぇか。で、前の女はいかにも偏差値40から頑張りますみたいな頭カラッポなんだけどキュートな女の子で、頭カラッポとか偏差値40とかは別に馬鹿にしているわけじゃなくて、単純そういう印象を持っただけだから、私が別に偏差値40とかを馬鹿にしてるわけじゃない、それに前々から言ってるように、白痴はエロい。別に白痴なわけじゃないんだけど、バカっぽい女は絶対に関わり合いたくないけど、眺めてるぶんにはたまらない材料。材料という言い方は悪いな、まるで女を物質として扱っているかのようだ。改める。彼女は俺のオナペット。で、左隣は俺の前面のオナペットの友達らしくって、こちらもまた偏差値45です英語だけは結構得意です数学サッパリだけどねハハハそういえば今日母の日だねみたいなクールビューティーな女の子で、前面のオナペットに比べると明らかに美貌は勝るんだけど、オナペットとしては前面のオナペットにはやや劣る。それは何故かというと、うぶ毛。私の前面にましますオナペットさんはちょっと背中の開いたキャミソールだかなんだかを着ていらっしゃったんですが、今日は寒いんだけど、部屋の中はムシムシと暑いですから、梅雨ですねそろそろ、少し汗ばんでいて、尚且つ背中は開いている。前の席の背もたれが後ろの机にドッキングしている代ゼミの机の特質上、僕の前面のオナペットが背もたれにもたれかかると、必然的に私の鼻先にその開いた背中が突き出される形になるわけです。それで、そのような状況になるまでは全然気がつかなかったのだけど、女の子の肌はどこも白くてツヤツヤしててモチモチしてるもんだと思っていたんですけど、これがすっとこどっこい、毛が生えてる。うぶ毛。童貞だからそんなの知らなかった。女の子の背中にこんなにみっしりとうぶ毛が生えているだなんて!
 うぶ毛が生えている。うぶ毛が、しかもなんかちょっと汗ばんでる。やばい。超エロい。超匂い嗅ぎたい。そして一時間目の倫理の試験を僕は悶々として「うぶ毛うぶ毛うぶ毛」と呟きながら受ける。ソクラテスが主張した理想的な政治形態として以下の選択肢から正しいものを選べ。うぶ毛。西田幾多郎は参禅の体験により自己の哲学を深化させた。うぶ毛。源氏物語は仏教的無常感を書き表している文学である、○か×か。うぶ毛。日本曹洞宗の開祖であるのは誰か。うぶ毛。世間虚仮唯仏是真これを唱えたのは誰か。うぶ毛太子。自然とは何なのか。うぶ毛。それ自身に含まれる力によっておのずとそうなるところのもの。うぶ毛。全ての設問に答え終えた俺は「フーッ」とため息をつきながら前に倒れこむ。手に顎を乗せておねんねのポージング。するとこちらも試験を終えたのかぐいーっと伸びをして迫り来るマイオナペットの背中withうぶ毛。俺の脳裏にあるCMが浮かんだ。「クンクンしてねー♪」俺はあややの言いつけ通りにクンクンした。甘酸っぱい、女の匂いがした。「初恋ってこんな感じかな」うぶ毛に恋した5月8日、うぶ毛記念日。