ゆらゆら帝国

 SweetSpotをいつ止めるともなく延々と聴きつづけています。ゆらゆら帝国を聴きながらいつも思うのは、ボーカルでギターの坂本さんの声が加藤鷹の声のようないやらしさを帯びているということです。加藤鷹といえば、何かのAVのサンプルをアダルトサイトで見ていたのですが、女優にフェラをさせながら鷹さんは必要以上に喘ぐのです。「あぁ、気持ちいい、あぁ」僕は基本的にバイセクシャルですが別に男の声に欲情するような性癖はもっていないので、鷹さんがいくら喘ごうがチンポはぴくりともしないはずなのですが、次の瞬間に鷹さんが発した「ああっ、チンポ硬い!」という声・台詞には、パソコンのディスプレイ上でありえないほど腰をグラインドさせてヨガっている鷹さんに向けて思わず男子の本懐を見せ付けてしまったものです。男子の本懐って使い方こんなんでいいんだろうか、とちょっと不安になったのでヤフーの辞典で調べたところ「ほん‐かい〔‐クワイ〕【本懐】もとから抱いている願い。本来の希望。本意。本望。」ということで、この用い方だと僕は本来は「加藤鷹さんに向けて勃起したかった」ということになってしまって、それではバイセクシャルどころの話ではなくて、完全にゲイなんじゃないの?みたいなことになってしまうので、そこのところの誤解は是非無いようにしていただきたい。僕はただのホモセクシャルだ。まあそんなことはどうでもよろしくて坂本さんなんですが、声が加藤鷹みたいだというのと、後歌メロとかギターソロのメロディーセンスとかについて、ものすごい専門的な音楽知識を用いて「ここはドミナントだ、だから素晴らしい」とかなんとかやりながら言及して行きたかったんだけど、もう一つAVに関して思い出したから再び脱線させて欲しいんだけど、私はかの有名なAV女優であり最近になって脱AVをし本格的にタレントとして活動し始めている及川奈央さんと握手をしたことがある。握手をしたことがあるというか、おっぱいを揉んだというか、目の前でオナニーをしたというか、顔面にぶっかけたというか、つまり汁男優のアルバイトをしたというか、いや、汁男優のアルバイトというのは嘘なんだけど、おっぱいには触ったかな、タナゴコロでぷにぷにと揉みしだいたというわけではないのだけど、確実に二の腕に及川奈央様のおっぱいがあたっていた、という状況に遭遇した、遭遇したというか積極的に関与したというか、とにかくそのことに関しての自慢がしたい。
 それは高校三年生の夏のことです。模試の前日、この模試というのが曲者で、担任から「この模試でまあ最低でもC判定は出せないと、その志望は変えて貰わなきゃいけないね」みたいな恐喝を受けていた模試なので、私は前夜に「くそったれあの担任のくそったれC判定なんかそう簡単に出せるかよ死ね死ね」と悪あがきをしていたのですが、そこに今は某早稲田に行っている友人から一通のメールが届いたのです。「及川奈央が東京書店にやってくる!」私はガーンと大きな衝撃を受けました。「ビートルズがやってくる!ヤァヤァヤァ!」そんなことを思い出し70年代への憧憬を少し膨らませたりもしながら、実は私がこの「及川奈央が東京書店にやってくる」という知らせに対して大きな衝撃を受けたのには背景というのがあって、その高校三年生の春にこれまたAV女優の蒼井そらさんが某ポパイにやって来ていて、私はそれを知りつつも「AV女優と握手なんかして何が嬉しいんだろうね」みたいな態度を取っていたのですが、実際に行った奴がそらちゃんの色紙とか写真とか携帯とか海パンの股間部分にサインして貰ってたりしているのを見るにつけ「行けば良かった、何も気取らずに僕も行けばよかった、蒼井そらちゃんの髪の匂いを感じたり、その豊満なおっぱいにぶしつけな視線を送ってみたり、ファンです応援してますと言ってありがとうございますー手コキしてあげましょうか?あら包茎さん?かわいいかわいい、みたいな扱いを受けてみたりすればよかった」と徐々に絶望的な気分を感じはじめていて、更には高3で初めて受けた模試の結果が第一志望D判定だったりしつつ、他にも家でオナニーをしていたら姉(私には4人の姉がいるのです)が突如として私の部屋に乱入してきて「糊を貸せ」などと申すものだから、私はその包茎ちんぽを差し出すと「手をお椀型にしろ」と言って、ピュピュピュッとその両手に向けて射精したのですが、姉はそれを見て「ありがとう」と言って去って行きました。嘘だよ馬鹿。で、まあそのような色々な要素が絡まっていた状況に「及川奈央がやってくる!」私は小躍りして喜んで、その日の勉強はもう止すことにして、及川奈央の動画を動宝などで漁っていたのですが、宝来みゆきと一緒にやってるレズ物ぐらいしか落ちていなくて、レズは美しいとは思うもののオナニーの対象にはなり得ないので、ヤキモキした私は2ちゃんの及川奈央スレッドでリンクを踏みまくるという愚行を犯してしまい、そのような時に限って変なブラクラを踏んでしまい、まあ良いただのブラクラだと思っていたらこれがどっこい変なウィルスみたいな野郎で、パソコンが立ちあがらない、立ちあがっても画面にはマウスのポインタが表示されるだけで他には何も映らない、私はすっかり意気消沈して悶々としたまま及川奈央の大腸及び小腸の柔突起のことを考えながら眠りについた。「柔突起を全て広げるとテニスコートぐらいの大きさになるんだよ」小学生の頃通っていた塾の先生は、ハゲた頭をテカテカさせながら嬉しそうに「どうだすごいだろ!」とでも言いたげな顔をしてそう説明していました。先生がすごいのではない、人間の身体がすごいのだ。
 目が覚めると私の頭はぼんやりとしていました。当たり前です。オナニーをしていないのですから。ちょっとまた話がそれるのだけど、私は基本的に「ワン・オナニー・ア・デイ」(一日につき一回オナニー)を提唱しておりまして、根拠としては「精子が腐っちまう!」ということなんですけど、溜まって古くなった精子は身体にエネルギー源として再吸収されるそうなので精子が腐る心配はしなくていいようです。でも一日一回オナニーした方が健康にはいいことに変わりはないのですが。で、とにかくオナニーをしていない私は頭がボーッとしてしまって、何も手につかない。ご飯を食べるのもおぼつかない状況で、歯磨きをしていたらダラダラと歯磨き粉が制服に垂れてくるし「これじゃあまるで僕が男と制服プレイの末に顔射されたみたいだ!」と内心ほくそ笑みつつ家を出たのです。家を出ると街を行く女子高生が全てAVのプレイのように思えてきたのですが、その話まで書き出すとこれで一つの小説が書けてしまうぐらい濃厚なお話なのでそのお話は致しません。学校に辿りつき、うやむやに記述模試を受け、さて及川奈央だとやや鮮明になってきた頭をフリフリ友達と及川奈央のおまんことかスタイルとか声とか顔の素晴らしさについて話をしていたのですが、いつまで経っても学校を出ようとしない。ふと不安になって「及川奈央の奴何時からなの?」と尋ねると「ああ、7時から」という返事で、その日の記述模試は3時に終わって、その話を聞いた時もまだ4時にならないぐらいで、私は「どーすんだよどーすんだよ」とキッズリターンの情けない不良のように「及川奈央まで後3時間もある」という重苦しい時間の長さにヘロヘロとなってしまったのですが、友は焦らず騒がず及川奈央の素晴らしさを語るのです。私も語るのですが、語れば語るほど奈央さんに対する思いは募って行き、昨日オナニーしていないことも加えて「もうお前でいいから入れさせろ!」みたいな気分になって行きつつあったのですが、そこは堪えて「フェラチオをしろ」と言ったのですが、友はそれをただの冗談だと受け取ったらしく「OKOK!」などと言ってフェラチオの真似をするだけだったのです。そのまま悶々としながら6時まで学校で暇を持て余し、先生に「お前ら早く帰って勉強しろよ」と情けない声で頼まれてしまったのでしぶしぶ学校を出たのですが、東京書店についても未だ6時半、7時までの三十分はおっぱいボールでキャッチボールをしたり、スカトロ物のAVに手を伸ばして、すると見知らぬ人もそのAVに手を伸ばして、触れ合う手と手、見詰め合う目と目、「セックスしましょう」そんなことになったりならなかったりしながら7時。バックのモニターで全裸の及川奈央さんが「ああんぁんぁ」と喘ぎながら男優とセックスを繰り広げているのを、股間と胸をふくらませつつ見入っている僕ら高校3年生童貞4名の前をスッと通りぬけて及川奈央さんがやってくる。モニターでセックスを繰り広げている女の人が、今この目の前にいるんだという感動で僕は思わず目頭が熱くなり、その股間や、胸や、唇や、鼻の穴、耳の穴、その瞳をずっと凝視していたのですが、その瞬間私は及川奈央と目があった!あの及川奈央と!そういう風に感動していたら、隣にいた現在某東大に通っているであろう友は「やばいやばい」としきりに連呼していて、理由を尋ねると「しばらくオナニーしていない」ということで、東大だからってオナニーしちゃいけない決まりはないんだよ、ということをよく言い含めていたら、ビンゴゲームが始まり、このビンゴゲームというのが「当たったら奈央ちゃんに好きなことしていいヨ☆」というもので、いやそれは嘘なんだけど、その商品として「奈央ちゃんと2ショットポラロイド&握手」というのと景品というのがあって、皆さんは当然奈央ちゃんと2ショット写真を撮った上で握手したり手マンしたりフェラチオされたりしたいわけで、高まる熱気の中、某東京外大に進学した友は「もし俺のビンゴがあたったら、お前が出てくれ」などと言いやがって、ココまで来てそんなシャイな一面を出すのかと私は呆れていたのですが、私は奈央ちゃんと是非とも2ショットセックスがしたかったので、それを快諾したり「いや、お前いけよ、こんなこと滅多にないぞ」と心にも無い励ましをしていたのですが、そうこうしている内にワ私はビンゴしてしまって、私は「これは夢かしら」と思っている内に、奈央ちゃんは目の前に迫ってきて、「お名前は?」「お、おまんこボーイです」「え?」「おまんこボーイです」「アハハ、変わった名前だね」「HAHAHA」スタッフ「じゃあ撮りますね」奈央ちゃんが私の腕に絡みつく、カシャッ「お名前は?」「え?」「お名前は何ですか?」「おまんこボーイです」「ああ、そうでしたね、ウフフ」奈央ちゃんはそう言いながら美麗な字で私と奈央ちゃんが写っているポラの下に「おまんこボーイクンへ(ハート)」と書き、私は「応援しています、頑張ってください、おまんこ」と言い、奈央ちゃんは「ありがとうございます、ウフフ」 そうして僕と奈央ちゃんの短い恋は終わったのです。私の手元にある及川奈央さんとのツーショット写真はおそらく私の生涯において、最も大切なものの一つなのです。そして奈央ちゃんとこれっきりもう逢えなくなってしまうんだねグスンという切ない気持ちで家に帰っているときに、頭に流れていたのがゆらゆら帝国の「恋がしたい」なのです。嘗て無いほど疲れた。