女子高生ガールフレンド

 今日も昼近くになって起きるとぼんやりとした頭でラジカセの電源をつけた。森高のベストが入っていたようで、いかにも昔らしい打ちこみが爽やかなアレンジの曲が流れた。スッキリと伸びやかなスネアの音色が寝起きの頭をクリアにさせた。私は今日は気分がいいななんて思いながら、右手をさりげなくズボンの中に突っ込むと、そっと陰茎の包皮を剥いた。私の亀頭はあまりにもピンクで、あまりにも敏感だった。パンツと亀頭の擦れる痛みに耐えかねてうつ伏せになると、枕から豚骨のような臭いがした。この枕が自分の首及び頭から発せられる臭いの2次的な生産物だと考えると、俺はもうダメだなと思った。森高の爽やかな打ち込みが白々しかった。オーバーヒートナイト。俺は包茎ヒートモーニングだ。そんな風に思ったが声に出しては言わなかった。声に出して言えるような日本語では無かった。沈痛な面持ちで朝風呂を浴びて、朝飯兼昼飯を食べるとしばし自室でぼんやりとした。窓の外を見ると雨は降っていなかったが、今にも降り出しそうな感じでひたすら曇っていた。前途多難。そんな感じがした。その一方で、いや、メイビーブルーかなと思った。泣き出しそうな窓際のブルーだと思った。泣き出しそうなのは窓際のブルーでは無くて私だった。やーりーきーれーなーいねー。
 今日は元担任の下へ成績の報告などに行かねばならなかったので、そんな感じでなんとなく落ちつきが無く過ごした。約束の時間より少し早めに家を出ると、出た途端にパラパラと雨が降り出して来たので仕方なく一旦傘を取りに家に帰った。いざ傘を持って自転車にまたがると雨は止んでいた。いい加減俺を馬鹿にするのもいい加減にしろと思ったが言わなかった。やはり声にだして言える日本語ではなかった。だから代わりに「あややのおまんこ」と3回呟いた。足に力を込めて、サドルから腰を浮かせて、半ばハードゲイですフォー!のような心境で立ちこぎをした。爽快だった。しかし私はハードゲイではなくてただのバイセクシャルであった。それでもしばらくこいでいるとペダルがギシギシと不吉な音を立てたので、ちゃんと座ってこぐことにした。腰を落ちつけてみるとなんだかやっぱり自分が馬鹿みたいな気がして、すれ違う女子高生の股の間ばかり見ていた。お前等はここに陰茎を受け入れるのか。そんなことを考えていたら勃起してしまって、信号待ちのときに落ちつけ落ちつけと思ってみたもののどうにもならなかったので、今度は「ごっちんのおまんこ」と5回呟いた。そんなことを言っているとますます勃起して来たので私は自転車を道端に停めると、その場に立ち尽くした。ちんちんが立ち尽くした。女子高生の集団がいくつも私の前を通り過ぎた。その中で一人の女子高生が私の前を行ったり来たりしているのに気がついた。生憎私は眼鏡を掛けていなかったので、その女子高生を「変な女子高生だなあ、もしかして俺のこと好きなんちゃうか」と大阪弁で思いながらぼんやりと見つめていたのだけど、その女子高生が私の前を34回横切ると、いよいよこれはどうしておかしいと思って、目をこらしてその女子高生の股の間をよく見た。よく見るとその女子高生はノーパンだった。ノーパン女子高生。アブソリュートデストラクションだった。私はその女子高生の顔を確認しようと顔を上げた。気付くとその女子高生は私の目の前にいた。「見たでしょ?」と彼女は言った。私はドギマギしながら「はい」と小声で応えた。私は「目の前に居る女のおまんこを見た」という事実に動転していた。あれだけおまんこ見たい指入れたい匂い嗅ぎたいなどと願っていたのにも関わらず、いざ現実になるとこんなものだった。そしてもう一つ私をドギマギさせたのは、その女子高生がれいなだったからだった。今一度おまんこを思い起こして見た。思い起こすと確かにれいなのおまんこはツルツルだった。
 担任の所へ行くのは今日は止めにして、れいなとショッピングした。れいなが「私のおまんこ見たんだから、ちょっと付き合ってよね」と言ったからだった。私は「じゃあ俺のちんこも見せようか?」と気の利かぬことを言ったのだが、れいなは曖昧に笑って「じゃあ行こう」と言った。そういうわけでショッピングをした。れいながどうしてもというのでちょっとえっちな大人のおもちゃが置いてある店に入ってみた。案の定店員に「未成年の方の御入店はお断りさせていただいております」と言われたので、二人してすごすごと店の外に出た。れいなは「あー恥ずかしい」と言いながら、暑いのか知らないがミニスカートをパタパタとやってスカートの中に風をやっていた。スカートがギリギリのところで翻るたびに私はドキドキしていたのだが、その内になんとなくつまらなくなって来た。れいなは私がつまらなさそうな顔をしているのに気付いて「私と居て楽しくない?」と訊いて来た。私は「そんなことないよ」と言って、れいなの顔をしばらく見つめてから視線を外して「ただノーパンなのがつまらないんだよ」と言った。続けて「俺はパンティが好きなんだ」と言おうとしたところで、れいなは「じゃあ最初から私と付き合わないでよ!」とまるで無理なことを言った。れいなは道端にしゃがみ込んで泣き始めた。私はれいなのおまんこが衆人の目に晒されてしまいはしないかとハラハラして「ごめん、れいな、本当にごめん、そういうつもりじゃなくって、えーっと」と必死に言い訳を探したけれども、そうそう良い言い訳が思いつくはずも無く、ミニスカノーパンでツルツルのおまんこをほとんど露出して道端にしゃがみ込んで無くれいなと、それをオロオロとしながら見つめる私という、なんとも微笑ましい光景がそこには広がっていた。このままれいなのおまんこが周囲の目に晒されつづけるのはまずいと感じた私は意を決してれいなの肩をぐっと掴むと言った。「れいな、俺はお前のことが好きだ。だけどほんの少しだけパンティのことも愛しているんだ。だかられいな、パンティを履いてくれ」れいなはしゃくりあげながら「れいなにはパンティなんか必要ないと!」と叫んだ。私は頭に血が上って「ああそうかい!じゃあ一生パンティなんか履くんじゃねーぞ!このバカヤロウ!」と叫ぶと、乱暴な手つきでれいなを路地裏に連れこんだ。今まで気付かなかったのだが、れいなはノーブラだった。れいなは怯えた猫のような目で「何すると」と小声で強がって見せたが、私には分かっていた。れいなは処女であることはあまりにも明白に分かっていた。私は乱暴な手つきでサイフから240円取り出すと、それを乱暴な手つきでれいなに渡した。れいなはキョトンとしていた。私は「オロナミンCを2本買って来い」と命令した。れいなの買ってきたオロナミンCを二人で飲んだ。そして携帯番号とメールアドレスを交換した。れいなと分かれて家に帰りながら私は泣いた。以上のような作り話があまりにもみじめに自分を引き裂いたからだった。俺は女子高生ガールフレンドと性的な関係になりたい。