お酒を飲もう

 8月になるとぼちぼちと大学生が広島へ帰還し、よっしゃ酒飲もうぜ!みたいな空気が漂うので今から私はウキウキしているわけなのだけど、なんでこうも酒を飲むことが楽しみなんだろうか。別にアルコール自体を美味いと思って飲んでいるわけではないのだ。飲みに行くと何の気無しに日本酒や焼酎を頼んでやっぱりチューハイなんかよりこういう酒のが美味いなとか言ってしまうわけなんだが、その時は実際に美味いと思って飲んでわいのわいの言っているんだろうけども、家に帰って一人で父上の泡盛なんかをこっそり飲んだりしても、うーんなんというかアルコールだなぁという感じしかせず、やはり私は若いのでアルコールに旨みを求めるというよりも酩酊を求めており、また酒を飲むという雰囲気を愛しているのであって、酒自体はそんなに愛していないのではないかと思う。しかし私が本当に酒が好きなのかどうなのはどうでも良いとしても、みんなで酒を飲むという雰囲気が好きなのは確かなので、とにかくみんなで酒が飲めるぞ!元担任の前でも公然と酒が飲めるぞ!というのが私は嬉しいのであり、来る8月7日や9日や15〜17日あたりはもうワクワクドキドキものなのだが、それはやっぱり気が許せる人間同士で飲むのだから良いのであり、例えば会社なんかで上司に付き合って「ささっ、どうぞ」とか言ってお酌なんかしたり、他にも合コンなんかで盛り上がらない雰囲気を無理に盛り上げようと酒を飲んだりというのは、どうも変な話だと思う。合コンではないが我々は4月頃に初対面女子と花見の挙句カラオケというほんのりとした青春を演じたわけなのだけども、それは今思い返すとそれは確かにほんのり青春ではあるのだが、カラオケの中の空気というのは実に不可解なものであった。私達日本男児は3人で僅か200mlに満たないウィスキーで酩酊し、大和撫子は炭酸がダメという摩訶不思議な1人と、愛想は悪いが激しく酔っ払った小人1人と、ゆうこりん1人と、森下千里1人という、グラビアアイドルに囲まれてウハウハ的な盛り上がりだったのだか、カラオケの内部は撫子がケツメイシ浜崎あゆみを歌い、我々日本男児はセックスピストルズやサザンや奥田民生吉田拓郎という構成で攻め立て、ええかええんのかここが気持ちいいんですか、的なヒワイなことを思いつつ、マンピーのGスポットを歌い、相手は少し引いて行き、セックスマシンガンズ桜島でトドメを刺す、音で殺すとはホテイトモヤスの談だが、我々は確実に大和撫子4人を音で殺した。そんなことはどうでもよく、とにかく不可解だ。音楽の趣向が完全に異なる人間同士で酒を飲み、カラオケをするというのが実に不可解だ。しかしおまんこしたい。そういう欲求があるのでついついそういうことをしてしまうわけなのだが、それならオレンジレンジケツメイシリップスライムなどを必死こいて練習すればいいのだが、それだと何だか自分がまるで下半身のみで生きているような心地がしてきて良くない。というかそんなことはどうでもよくて、僕はハロプロメンバーと酒を飲み、カラオケに入りたいということに話を繋げて行きたかったのだが、繋げられなかった。模試で疲れてるんだ。私は右隣に座っていた人のことをずっと男だと思っていたんだが、実は女だったので、それはかなりの衝撃だったんだが、多分誰にもこの驚きは伝わらないから無駄な努力はしない。本当に見た目は男だったんだ。もしかすると女の声を持った男なのかもしれないが、とにかく驚いた。勃起した。かわいくないのに。やっぱり僕はバイセクシャルなのだと思います。狼で「辻と熊井が好きな奴はショタコン」と言われているのを見て、なるほどそういうものなのかなと思いました。中性的な顔立ちというのは性別を問わず勃起します。大切なのは顔なんだね。自分のことは棚に上げますけん。上げますけん。あげまん。
 ハロプロメンバーと酒を飲みたい。しかし前述の通り初対面同士というのはやはり気まずい。酒を飲んでも気まずさによってお互いのポテンシャル以上に上げられたテンションがともすれば空回りし、一旦火が消えてしまえば二度とつくことがない、という惨事も想像に難くない。初対面から結構話がはずみそうなのはごっちんごっちんのテンションは空回りするときは空回りしてしまうのだけど、それはナイナイとか年上の人間だけに見られる傾向なので、同年代の人間に対してはきっとそういうこともないのだろうと思う。仮に話がはずまなかったとしても、無言を無言としてそのまま受け入れることができそうな気がする。ごっちんごっちんと酒が飲みたい。「あ、どうもはじめまして」「あーどうもー、後藤です」「あ、どうも」「いえ、どうもどうも」「どうも?」「どうも?」「堂本?」「剛?」「いえ、光一」「あー、アナルアナルアナル」こういうやり取りが可能なのはごっちんだと思う。それでまたごっちんとは違って上手くいきそうなのはミキティミキティは酔うと人の気にしていることをズバズバ言う。「お前のTシャツ乳首たってんのがわかんだよ!」と小太りの人間に言い放てる強さがある。あと、れいな。れいなに酒を飲ませたらきっと泣き上戸。それにミキティが「泣いてばっかいるんじゃねーよバカ」と突っ込み。れいなが「美貴ねぇ、そんなの酷か」とか口答えする。目が充血して赤い。僕はそれを黙って見ている。ごっちんは相変わらずのぼーっとしてぬるくなったビールを飲む。「ごっちん、もうそれぬるいでしょ?」と言うと「ごっちんとか馴れ馴れしく呼ばないでくれる?」と言われて軽く勃起して「ごめんね、ごめんね」と言って店の人に「生、もう一杯」と頼む。運ばれて来た生をごっちんに渡してごっちんが飲んでいた温くなったビールを貰って、それを飲む。間接キス。ごっちんはさも当然のような顔をして冷たい生を飲む。僕は勝手に勃起して「ちょっとトイレ行ってくるね」とトイレに立つと、トイレの前でれいなが泣いている。「どうしたの?」と問うと「美貴ねぇが酷いと」ということで、れいなが「美貴ねぇ」とかホントに言ったら勃起どころの話じゃ済ましてやらないんだが、そこのところはおいておいても、僕はミキティに「れいなのことあんまりいじめんな」と言うと「何様だよ」と言われ、いつのまにかやって来ていたあややにも「そーだよ、お前何様だよ」と言われ、快感で意識が遠のく。ごっちんはマイペースに「あ、ジャーマンポテトもう一皿ください」と言い、これまたいつのまにか来ていたのかののたんが「ユッケ」とつぶやく。僕は薄れ行く意識の中で「アーモンドシュワルツネッガー」と呟いて倒れる。その日の会計はお1人様2万5千円。6人分すべて僕が払ってニヤニヤする。「ゴチになります」とののたんが言い、ごっちんは「ありがと」と言い、ミキティあややは勝手にイチャイチャしてどこかに行き、れいなは「もう終電無くなったと」と言って泣くので「じゃあ俺の家に泊まるか」ということで、僕とれいなはその日結ばれるのでありました。酒で立たなくなった陰茎をれいなの陰部に押し付け、格好だけつけて、射精もせずに寝る。朝起きるとれいなが「れいなの処女を返して」と泣く。そもそも入れてないということを説明するのに2時間かかる。予備校に遅れる。授業中ニヤニヤしていて身が入らずに講師に怒られる。「何だお前は、やる気があるのか、やる気がないなら出て行け」僕はその問いかけに対して「がんばっていきまっしょい」と応えて教室を爆笑の渦へ導く、かと思いきや白い視線。「いや、れいなだけにね」と言い訳するものの、視線に負けて教室をでた。教室を出ると空は晴れていた。酷いことばかりだがあのメンバーでまたお酒が飲みたいと思った。