目を瞑つてみては如何

 セットストックで眼鏡を無くしてしまったので母上に「今度は一番安い奴にしますからね」と言われ「はい」と軽く頷いたもんだったんだが、意外に眼鏡というものは安いものだ。5000円からある。セットストックで落とした奴は形状記憶だかなんだかで一万数千円の良い奴だったのだが、5000円7000円の眼鏡とはいえどレンズ自体は変わらないわけだし、別に形状記憶だろうがなんだろうが授業とかテレビを見る時だとかパンチラを求めて市井をさまよう時ぐらいにしか眼鏡を掛けないので、そもそも始めから5000円ぐらいの奴にしておけばよかったのだが、当時は何も考えちゃいないので店員の「これはね、少々乱暴に扱っても大丈夫なんですよ。若い人にはこれがいいかもしれませんね」という言葉を鵜呑みにしてそれを買いますと言って、母は渋い顔をしながら一万数千円を財布から出し「よろしくお願いします」と呟き、私はそこらへんにあったサングラスを掛けては外し掛けては外ししながら必死にジョンレノンを気取ろうとしていたのだが、生憎丸顔に丸サングラスというのは似合わないらしい。それはまあ高校の頃の国語教師を見れば一目瞭然と言うぐらいに分かるのだが、それにしてもあの先生が丸眼鏡を掛けているのも見なれてしまった話なので今更似合わねぇなとも思わないのだが、それだったら僕がこの丸サングラスをずっと掛けつづけていれば、いずれ似合うも似合わないもなくなって、やったぜ僕もジョンレノンだという風になるのかなということを考えている横で、母はその眼鏡屋の店員のおっさんと会話を交わしていて「最近はマイナスイオンが出るメガネが云々」という話をしていて、私はマイナスイオンがなんだっていうんだ、マイナスイオンが飯を食わせてくれるのか?バカバカしい、と裸足のゲンのような思いを抱きながらまだジョンレノンを気取ろうとしていたのだが、なんだかそれも虚しくなってやめた。まあそういうわけで今日はメガネを買いに行ったのだが、感心するのはあの目を当てると気球みたいなのがぼんりやとしたりはっきりしたりする機械。あれで大体の視力が分かってしまうというのがすごい。不思議だ。目が悪い云々というのは視神経などの問題ではなくて、単にレンズの弾力性や歪みなどの問題なのだろうか。だがそれよりも気になるのはあれをやっている人間の無防備さだ。無防備だ。あれほど無防備な状況というのはうんこをふんばっている時ぐらいのもんではないだろうか。例えばだが、あれをれいながやっていたらそっとおっぱいを揉んでも何ら勘付かれないような気がする。別にれいなじゃなくってもいいから、あれをやっている清廉潔白な女子高校生を右斜め後方から観察したいものだと思う。
 れいなは目が悪そうだ。斜視というのは外見以外は何ら問題はないという話も聞くし、視野が狭まったり視力が落ちたりするという話も聞く。どちらの説が正しいのかは知らないが、れいなはなんだか目が悪そうだ。モーニング娘。にしてもそうだが、アイドルというのは目が悪い人でもテレビや雑誌などに出る時は眼鏡を掛けていないので、誰が目が悪いものなのか分からない。この人は視力良さそうだなというアイドルでも「実は私コンタクトが手放せないんですー」みたいな告白を一体どういう文脈においてするかは分からないのだが、そのような告白をしていて吃驚することがあるし、ハロプロでも確かコンタクトをしているメンバーが居たと思うのだが誰だかは忘れた。つんく♂ではないことは確かなのだが、そんなことが確かであっても何も変わらない。私はメガネっ子萌えという人種ではないのでアイドルの目が悪かろうが良かろうが、メガネを掛けていようがいまいが関係ないのだが、もしれいなが家ではメガネを掛けていて、寝起きなんかに「めがねめがねめがね」などと呟きながら枕元をゴソゴソやって、そんなことをしているとスタンドライトを落っことしてしまって「ありゃ」とかいう声を発している状況というのを想像すると、なかなか良いもんだが、別にメガネそのものに萌えているわけではない。外ではコンタクトをしていれば良いと思う。ただ私が言いたいのは、外ではコンタクトしているんだけど、家に帰るとメガネをかけてるんです、うふっ、という女子になんだか分からない魅力を感じる。秘密を知ってしまったという感覚だろうか。アイドルの家族構成なんかを聞いたり、アイドルが自分の兄や弟や姉や妹のことを話しているとなんだか興奮してしまう感覚にそれは近いのだが、安田美沙子が「私双子なんですよー」という話をテレビかなんかでしていた時は少し興奮したし、しかも男女の双子というのが尚更興奮した。安田美沙子は更に語るのだが「弟と私はお互いのことはなんでも分かる」とか「私はワシ鼻の人が好きなんですよ。理由?理由は、弟がワシ鼻だから(笑)」なんとか言って、それをためらいもなく話す安田美沙子の顔を見ていると勃起してくる。近親相姦の臭いがした。グラビアアイドルの姉を持つ弟という心境が理解しにくい。姉の半裸をちょっと雑誌を買ったりすると見てしまうことになるわけだ。特に安田美沙子は「小さい水着を着ると、スタイルが良く見える」というかわいそうな誤解をしているので、半裸というかそれはもはや全裸と言っても差し支えない。あれは乳首とまんこと陰毛が見えていないだけだという言い方の方が適当だと思う。ともかく、安田美沙子の弟は姉の全裸に近い姿を見てどのような気持ちになるのだろうかということを考える。私が安田美沙子の弟ならすぐにオナニーすると思うのだが、私が安田美沙子の弟であるという仮定からして明らかに間違っているので、そのまま背理法に掛けると変なことになってしまうので止める。やっぱり近親相姦だろう。しかし一番美味しいのは保田圭ちゃんの弟だと思う。僕が圭ちゃんの弟なら梨華ちゃんとかごっちんの写真集で抜きまくるな。圭ちゃんの弟ならという仮定は一見必要ないようにも思えるのだが、圭ちゃんの弟だったら梨華ちゃんごっちんの写真集を見て感じる興奮の度合いが違うだろう。身近な人で抜く快感というのは計り知れない。僕の小学校の頃の同級生が早くAV女優にならないかなと思う。抜きまくった挙句に、小学校の連絡網から実家に電話を掛けてその子の母親に「よかつたよ」と声を掛けてやりたい。「嗚呼とてもよかつた、そうだろう?」
 れいなに電話を掛ける。「れいな、写真集よかつたよ」「あらそう、それで?」「それで?なんて言い方はないだろう、失敬だよ」「あらそう」「その『あらそう』という返事もどうにかならないものかね、私は苛立つているんだ」「あらでも、貴方さっきは『よかつたよ』とおつしやつたではありませんか」「そんなことはどうでもいい。とにかく僕はね、君の写真集でナニをしたよ」「ナニつてなんですの?」「コいたよ」「まあいやだ」「コいたよ、2回程」「およしになつて、そんなことをおつしやられるのは」「やめない、やめないよ。僕は2回コいたんだ、これから3回めさ」「まあいやだ、貴方がそんな色魔だつたなんて」「何を言う。僕が色魔なら、君は姦婦だ」「本当にいやな人」「なあれいな、好きなんだよ。接吻しておくれ」「どうすればいいんですの」「だから接吻しておくれ」「本当に嫌な人。電話で出来るはずがないじやありませんか」「何。簡単なことさ。一寸目を瞑つてみて御覧」「何ですの急にまた」「だから目を瞑つてみて御覧」「はいはい。瞑りましたよ」「こうするんだよ」「何をなさつたの?」「今君の太腿に接吻したよ」「あら、どうやつて?」「こうやつて」「あら嫌だ。恥ずかしい」「恥ずかしいのなら、目を瞑つてみては如何」「そうしますわ」「この姦婦め」