犬と猫

 捨て犬がくぅんくうぅんと鼻を鳴らしながらボトルを入れてくれろと要求してくるので、あまりにも愛しくなった僕はその犬を500万円で買い取ることにして、意気揚揚と家に帰った。家に帰ると僕は猫を飼っているので、この犬と猫が喧嘩をしやしないかなと少し不安の体だったのだが、案外仲良さげにこの服良いねだとかお鼻がブタさんみたいでかわいいとかできるだけおっぱいを大きく見せる方法などについて意気投合していたので、僕はミキちゃんおやすみれいなおやすみとその犬と猫に優しく声を掛けると寝室へ引きこもり、この犬と猫と自分との3Pを想像して数回自慰に励んだ後、三島由紀夫憂国を見ながら妻に見取られながらの切腹について思いを馳せ、藍より青しを少しだけよんで絵が下手だなことの人はという感想を抱いて眠った。翌朝起きておいミキちゃんおいれいなと声を掛けてみると返事がしないのでおかしいなこれはどうしたことだろうと思い、トイレやベランダや押し入れ、更には床下なども調べたのだがあの犬と猫の姿はどこにも見当たらなくて、そういえば荷物も無くなってしまっている。僕は逃げられたということを悟り、悲しみにむせび泣いたのであったが、これは24・25日に向けての何かサプライズ的な企てなのではあるまいか、あの犬と猫は飼い主即ご主人様にあたる私に対して何か喜ばせようとしての苦心の策として、私を一旦堕ちて堕ちて堕ちきった絶望の果てまで追い込んでおいて、24日にそれを一気に解消するサプライズとエキサイトの弁証法的統一であるところのカタルシスを私に得させようとしているのではないかと万物はプラスの方向へ動いて行き、インスタントのみそ汁をワンカップ大関の容器に開けてニヤニヤしながら飲んでいると急速に身体がだるくなってきて目を閉じるとそのまま永遠にさようなら。