くるぶし

 酔った。れいなは酔っ払っていた。酷い乱痴気騒ぎ。れいなは酔っ払っていた。小川はビールをこれでもかこれでもかと遮二無二飲み干し、さゆと絵里はウィスキーをストレートで舐めるように飲み、時折ひそひそと耳打ちをし合っては真っ赤に膨らんだ小川の顔面表皮2mmを眺めながら笑うのだ。そしてその時れいなは酔っ払っていた。酷い乱痴気騒ぎ。私も又、時と場所を同じくして酔狂、れいなのあられもない姿と小川のやくたいもない姿、更にはさゆと絵里の陰鬱な姿を見てひしひしと人間のあさましさを感じ、分かってたまるか分かってたまるかをおまじないのように唱えながら安ウィスキーをガブガブ飲むのである。さゆはそれ何のおまじない?とかわいく顔を傾けて私に尋ねるのだが私だってそんなことは知らない、知らないよ僕はそんなこと、知らないんですとうわ言のように呟きながら、小川が生!生!と叫ぶのに任せて俺もウィスキー!ロックで!いやストレートで!いややっぱり小川、お前が欲しい。コンドームを付け忘れた俺は右手人差し指でウィスキーをカクハンし沁みる40度のアルコホリック、貴様に何がわかる、そのような気持ちで沁みる肉棒と指先とを何某かの力によって勃起せしめ、さゆと絵里がまたウィスキーを舐め舐め陰鬱に嘲るように笑うのを背中に感じながらまた私も笑うのである。小川はブラジャーのホックをそっと外し、そしてその時れいなは酔っ払っていた。酷い乱痴気騒ぎ。そろりそろりとれいなの顔が赤から青に変わる頃、時計を見ると午後10時、存外早い、僕達はいつからこのようなことをしているんだろうということを考えると遡るに5年前、俺が13でれいながまだ小学生の頃のことである。その時、僕は、熱い接吻を、誰と、交わしたか?否、僕は一体誰と肉体の契りを結び、魂を牢獄に閉じ込め、それを辱め苛め抜きロングマン英英辞典を逆手に持ってはアバンストラッシュを決めようと企てる幼稚園もも組、階段の下からのぞき込む幼稚園年長組女子のふんわりとしたパンチラに狂喜、おいじゅんぺい俺はこの角度から攻める、ここを三森ここを俺は唯一の立脚点とせしめて、彼女等のパンチラを狙う、ふかふかとしたパンチラを狙うことを企てようと考える所存である、お前はトイレに張り込め、張り込め詐欺、張り込んでおいた上で女のコがトイレに入ったら俺を呼べ、すぐさま飛んで行きトイレを覗こうではないか、はは、そうだねそうしよう、そのような社会契約を締結後、自然状態とは何か、自然権とは何か、熱い議論を戦わせる僕とじゅんぺい、俺は足を滑らせて水道管と水道管の間に足を挟んで悶絶、足が抜けない足が抜けない痛いよママンとワーワー無き散らかした後に石鹸を持った保母さんが現れて私の足にぬらりぬらりと石鹸を塗りたくりその危機から私を救ってくれたのであったか?それは知らない。ただソープという語源を痛切に感じたのみである。カンジダ。だがれいなはその時お父さんの体内にすら居なかった、当然その片割れもお母さんの膣無いには存在し得なかった。ただれいなの同朋、兄弟、姉妹のようなものは日夜そのパパンとママンの間に取り交わされ、いやもしかすると彼氏の元カノって知ってる?知らなーい、エイズだったりして、えっ?みたいな、みたいな、関係性?顔だったり腹だったり尻だったりするところに適宜バラバラと真希散らかされていたのであり、ごっちんの指、僕はその真希散らかされた堀北真希の鼻の頭のホクロにも似たザーメンが貴方即ちれいなの半分で無かったことを喜ぶ他ないのだが、僕は偶然にして必然という言葉遣いが嫌いです。運命論を振りかざす奴はバカだ。ふと思い出すこと半月前、私はTOKYOに居住せしめ、しめしめと夜中のエロ番組で手淫を企てていたのであったがそこには落下女新垣結衣などを見て悶々とする日々しかないのであり、小野寺選手の右眼の下に鎮座ましますホクロに多大なる憧憬の念と、辛かっただろう悲しかっただあろう、そしてこれからもその辛い境遇を抜け出ることのできないそのホクロ3名に敬意を表して、ウォー、ウォー、キュー、キューなる雄叫びを上げながらそのホクロをダブルテイクアウト、やりましたねー小野寺さん、これは世界のショットですよ、いやー本当に小野寺すごいね、おばあちゃんやったよ、プライベートなことなのでお答えできません。泣くなよ安藤。
 そしてまたれいなは酔っ払っていた。酷い乱痴気騒ぎ。小川はブラジャーの下に厚い肉襦袢を重ねていた。さゆと絵里はそれを見て舌打ち、何故か?僕は不思議に感じて首を傾けるのだが、僕が首を傾けのか、それとも世界全体がぐらりと傾いたのか手に持ったグラスからダラダラダラとウィスキーがこぼれ落ち、さゆと絵里はそれを見て僕をからかい、俺はそれに対していやあもう酔っちゃって困るよね、ところで今世界が傾きませんでした?小川は肉襦袢をびろーんと伸ばしては体内に空気を送り込もうとする。いやあねえこれ着てると酸素が足りなくって、皮膚呼吸。否、それはえら呼吸であろう、畢竟貴様は魚なのである、両生類では決してないのだ。やだーマコトは魚なんかじゃないですよう、魚は後藤さんだけですよ。黙れ黙れ黙れ、お前にごっんのことをとやかく言う権利がどこにある、そこか、乳頭の裏にでも貴様はその権利を隠し持っているとでもいうのか、持っているのなら見せてみろ、お前はあの頃の小川ではないはずだ、貴様はガッツが足りなくてドライブシュートを打てなかった小川マコトでは決してないんだ、見せてみろ、前の権利とその権利の隠れの蓑であるところの貴様の乳首を、Bカップの乳輪を。れいなはここに来て初めて言葉を発した。「クンニリングス」僕と小川とさゆと絵里はそれを無視しましたが、ミキティが言うには「最悪、お前」ということで、僕はさゆと絵里が憎くもありましたし、ミキティがまたいじらしくもありましたが、れいなはとにかく酔っ払っているので何も言えない、言えるはずがない、言ってみると脳みそに穴があくよ、そこからニューヨークが溶け出してしまっても僕は保証し得ない、酔っているのだから保証し得ない、何クソ、酔ってしまえば全てがチャラになるとでもお思いか、決してそのようには思わないが、俺には俺、僕には僕、私には私にとっての真実在というものがあります。それは偶然にして必然というバカげた空論は何一つさしはさまないのですが気になる点が一つ。れいなの真っ青な顔と、日が昇ったらお水をください。