そうだ猫を飼おうと僕は思い立ったので近くのデパートへ行って「猫が欲しいんですが」と言ってみたら「猫なんて、おいてないですよ、猫なんて」と言われたので、はて困ったなと思い、スーパーマーケットに行き「猫が欲しいんですが、猫」と言うと「食べるんですか?うちはおいてないですねえ、すいません」と深々と頭を下げられて恐縮した。僕はそうだな、別に売ってないのなら買う必要もないのであって、捨て猫を拾えばよいのだ。そのように思って捨て猫というものを探してみたのだが、よくよく考えてみると僕は生まれてこの方ダンボール箱に入れられてニャーニャー鳴く子猫、そして箱には「もらってください」の文字、という典型的な捨て猫を見たことが一度も無いのであって、そんなもの都市伝説かもしれない。じゃあ困った、僕はどうしても猫が飼いたいのに、猫を飼って、ミルクをペロペロ舐める様や、毛づくろいをする様を見てぼんやりと今後の人生について思いをめぐらした挙句にリストカットを繰り返したいなあ、と僕は、常々そう思っているのであって、でも猫がいるとなるとそう簡単にリストカットもできまいなあ、そもそもリストカットなんてしたこともないが。だって痛いのは嫌だ。困ったなあ痛いのは嫌だなあと思ってほっつき歩いていると偶然にしてたまたま野良猫を見つけたのでこいつを飼おうと思ってとっ捕まえたのであったが、よくよく顔を見てみるとなんともふてぶてしい顔付きをしていて、生理的な嫌悪感をもつに至ったので猫を飼うのを諦めたのです。