自分は百年も待てないと答えた。

 料理を作っていると玄関のドアが乱暴に開き、やあやあお待たせ、やあ、ほんと、お待たせ、と女がズカズカと部屋に入ってきた。今日は何を作ってるの?パスタ?ペペロンチーノ?私カルボナーラがいい、と冷蔵庫にビールを入れながら喋り続ける女を、僕はよく知らないのだけど、多分きっと向こうは僕のことを知っているのだろうなと思い、今日は牛肉と豚肉のトマトスパゲッティーだよ、あ、ビール一本ちょうだいと言いながら、ビールを受け取って、冷蔵庫を閉めて、部屋の暖房にスイッチを入れて、女にテレビのリモコンを渡して、女の着ていたコートをハンバーにかけてから、お湯にパスタを入れてタイマーを7分間にセットした。女はテレビをつけてすぐさまアニマックスにチャンネルを変え、銀河鉄道999を見ながら「おっテツローだ!」「おっメーテルだ!」「おっ車掌しゃんだ!」と一々うるさく、僕が「今噛んだね」と言ったら「パスタはやくしろよ」と怒られた。7分ぐらい待てよと僕は思った。