サントリーモルツ

 ごっちんがこれから暇だというので、じゃあ映画でも見に行こうか、アバターでも、という話をしていたら私は焼肉が食べたいなどと言い出すので牛角へ行こうということになった。「牛角なんかでいいの、もっとおいしいとこあるのに」と言うと「いーんだよ、お肉なんて何でも一緒だよ」と言うので、まあそれならそれでと思い、喫茶店から徒歩5分ぐらいのところにある牛角へ行った。席に着き、カルビ食べようか、私ホルモン食べたい、じゃあレバ刺しも、なんてことをやっていると店員さんが「お飲み物お決まりになりましたか?」などと言ってくるので、ふと顔を上げるとその店員は田中れいなだった。ごっちんは「田中ちゃんひさしぶりー」などと挨拶をし、俺はあまりのことに無言で、しかし心の中でれいなだ!れいなだ!れいなが目の前にいる!と思っていた。とりあえず生を二つ頼んだ。れいなは「かしこまりましたー」と言い、ごっちんは「ここの生って何?」と質問し「モルツです」などという受け答えをしていて「私スーパードライがいい」などとごっちんがわがままを言うのでれいなは苦笑して「スーパードライが飲みたきゃ、コンビニで買って来い」と言った。ごっちんがあはははーと笑ったので僕も笑った。モルツが運ばれてきたので当たり前にモルツで乾杯した。結局肉は食べずにモルツをお互い3杯ずつぐらい飲んで帰った。れいなが「ありがとうございましたー」とレジの前で言うので、ごっちんは「田中ちゃんバイトいつ上がるの?」「れいなバイトじゃないですから、今から帰ります」というやり取りを経て、僕とごっちんとれいなで僕の家に帰った。帰り道で雪見大福と氷結とタバコを買った。れいなはショートホープを吸うらしい。「なんでまたホープなんて渋いタバコ吸ってんの」と訊くと「短いから好きなんです」とれいなは答え、ごっちんはコンビニにいる間中ジャンプを立ち読みしていた。