NONO

 飲みすぎて二日酔い。起き上がると気持ち悪いので布団の上でごろごろしていると、ののたんが部屋にズカズカと入ってきて「また?」と言うので「まただよ」と応えた。「学習しないね」「学習してるよ、飲みすぎると二日酔いになる、そして気持ち悪い。しかしそれとこれとは別だ」「はいはい」そう言ってののたんは手際よく私の部屋を片付け、溜まった洗濯物を洗濯機にぶちこみ、溜まった洗い物を洗い「何が食べたい?」と訊くので「おかゆ」と言うと「また?」と応えるので「まただよ」と言ってタバコに火をつけた。タバコを吸うとまた気持ち悪くなってきたので「気持ち悪い」と言うと「ほんと学習しないね」と言われた。「学習してるよ、二日酔いの朝にタバコを吸うと気持ち悪い。しかしそれとこれとは別だ」ののたんは今度は何も応えず、冷蔵庫を開いて「なんにもないじゃん」とぶーたれた。私の冷蔵庫の中にはビールとマヨネーズとおたふくソースしか入っていない。「なんにもないよ、なんか買ってきて」「やだよめんどくさい、おかゆ具なくていいよね?」「鶏肉入りがいい」「贅沢言うな」ののたんはこれまた手際よく鍋に米をぶちこむと火をつけて、私の顔を跨ぐ様にして上から「欲求不満なんだけど」と言った。水色のパンツだった。「そうか、しかしそれとこれとは別だ」ののたんはゆっくりと私の顔の上に腰を落とし「子供が欲しいんだ、男の子、きっとかわいい子が産まれると思うんだけど」と言った。私はふがふがと「無理」と言ったが、ののたんは構わず顔面騎乗、腰をぐいぐいと押し付けるので二日酔いにまんこの刺激臭は厳しいものがあり、たちまち気分が悪くなりののたんを押しのけると「ちょっとトイレ」と言って、ゲロを吐いた。涙が出てきて仕方が無かった。私が部屋に戻るとののたんは洗濯物を干していた。「私はさー、あんたの便利屋じゃないんだよ」とののたんは言った。怒っている風だった。私は吐いていくらかすっきりしていたので「そうだね、しかしそれとこれとは別だ」と言いタバコに火をつけた。残り二本。「何がどう別なのよ」「何がどうと言われても、それがこれと別なんだよ」「わかんないよ」「わからないというのもまた趣き深い」「ごまかさないで」「あっ、鍋噴いてる」ののたんは台所へ立つと火を弱くしカバンをひっつんかんで部屋を出ようとするので「コンビニ行くんだったらタバコ買ってきて、ピースライトね」と言うと「もう二度と来ねーよバカ」と言い残して戻らなかった。私はやれやれと思い、こげついたおかゆを食べた。その翌日にテレビでののたん妊娠結婚のニュースを見た。私はやれやれと思い、残り二本だったタバコを立て続けに吸い、ビールをしたたかに飲んで、翌日はまた二日酔いだった。
 という妄想をこの二ヶ月しつづけていた。